2008年10月30日

シャコンヌの思い出

バッハの名曲の1つに「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータBWV1001-1006」という曲集があります。中でもこの曲集に収められている「パルティータ第2番ニ短調 BWV1004」は、バッハの最高作品にして、過去の全ての作曲家の作品の中でも最高傑作と評されることがある名曲「シャコンヌ」を含む楽章ととして知られています。しかし、バッハの「シャコンヌ」はその絶大な評価と裏腹に知名度が低いと言われています。私だって、この曲との思い出深い出逢いがなければ、この曲を頭にインプットすることはなかったかと思います。

私が「シャコンヌ」を初めて聴いたのは、高校時代の親友であるケンゴの演奏でした。同級生がみんな大学に進学した中、ギタリストになりたいという夢を追い続けてギターの専門学校へ進学した彼。いろんな挫折を経験しながらも、彼が行き着いたクラシック・ギターの道。大学へ行って普通のサラリーマンになった私を演奏会に招待してくれたのは、彼が築き上げた技術とプライドの集大成を披露したかったに違いないと、その時確信しました。ロックが大好きだった彼。クラシックギター専門学校の入学試験にエレキギターを持参して演奏した彼。そんな型破りなロック小僧だったケンゴが、高校卒業後数年を経て、上野の音楽ホールで私の目の前で独奏してみせたのが、他ならないバッハの「シャコンヌ」だったのです。

そんな私にとっては大変に思い出深い曲が治められた村治佳織さんの新譜。昨日のリリースと同時に買い求め、昨日からずっとお店でかけっぱなしです。いつもはジャズ一辺倒なのですが、たまにはクラシックが流れる珈琲豆屋もイイですね。

デビュー時には「女子高生クラシックギタリスト」と紹介され、以来クラシックギター界のアイドル的存在で注目されてきた村治佳織さんも、今年で三十路。アイドル的な扱いなど受けなくても、十分にその存在を示すだけの風格が備わってきた感じです。今回の新譜は、名曲「シャコンヌ」を含む、自身初の全曲バッハで固められたアルバムです。村治佳織さんと言えば、「アランフエス協奏曲」で知られるロドリーゴの作品を扱うことが多く、「スペイン」のイメージが強かったわけですが、ここへきて初のバッハ作品集のリリース。もう、貫禄十分です。

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「KAORI MURAJI plays BACH」 初回限定版(SHM-CD)


もちろん、「シャコンヌ」などの独奏も素晴らしいのですが、前半のゲバントハウス・バッハ・オーケストラとの競演が素晴らしく、特に「チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調BWV1056」の美しさは特筆もの!譜面通りに演奏できるギタリストはたくさんいるでしょう。プロフェッショナルと呼ばれるアーティスト達は、そこに感情表現などのプラスαをどれくらい演奏で表現できるかで評価されるのでしょう。このCDを聴いていると、何とも説明のしようのない深い感情に包まれてしまうのです。どちらかというとクラシックはどうも苦手な私なのですが、この作品に関しては、まるで憑かれたように聞き入っているのデス。


posted by jiro at 17:18| 本日のBGM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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