2008年09月24日

DARK

「暑さ寒さも彼岸まで」とは良く言ったもので、秋分の日を前後して、めっきりと秋らしくなってきました。庭のシュウメイギクの花もだいぶ咲きそろってきた感じです。これで地のキノコや栗などが食卓に並んでくるようになると、いよいよ本格的な秋ですね。

「読書の秋」も忘れてはならない秋の風物詩の1つです。暑さも和らいで、集中力が増すからでしょうが、なるほど確かにページを繰るのも早くなるような気がします。しばらく読書もしていないなと思い、久しぶりに古本屋で長編小説を買ってきました。

桐野夏生さんの著作「DARK」です。99年の直木賞受賞作品「柔らかな頬」を読んでから、桐野さんの作品はいくつか読んできましたが、比較的暗いタッチの作品が多い桐野作品の中でも一際「暗=DARK」を描き出した異色作です。主人公の村野ミロを中心としたシリーズの流れを汲むものですが、前シリーズまでの主人公とはまったく異なる人格を描き出すという、かなり思い切った手法をとっていて、あまりの主人公の変貌振りに、桐野作品のファンからは賛否両論が沸き起こったという問題作品であります。興味のある方は、ぜひともシリーズの1作目から読まれることをオススメします。以下、村野ミロシリーズの一覧です。

「顔に降りかかる雨」
「天使に見捨てられた夜」
「ローズガーデン」
「水の眠り 灰の夢」

dark0809.jpg決して爽快な内容でも結末でもありません。人間の心の闇に切り込んでいくその活字を追っていくと、自分自身にも潜んでいるであろう「DARKNESS」にハっとするのです。

先日観てきた「20世紀少年」のような映画も、その原作となったコミックも、エンターテーメントとしては素晴らしいと思います。しかし、紙上に羅列された文字だけを追い、そこから得るイマジネーションの世界は、小説のみが持つ特異な世界です。それを読む人間の数だけ主人公の顔がある・・・それが読書をやめられない理由なのでしょう。


posted by jiro at 18:29| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。