2008年09月18日

レンズに刻まれた記憶

ペンタックスが交換レンズの国内生産から撤退するという報道がありました。HOYAとの合併劇があった今春から、いつかはこんな日がくるだろうことは予想しておりましたが、一ペンタックスファンとしては複雑な気持ちです。

他界した父はカメラレンズ部品の金属加工の工場を営んでいました(現在は兄が継いでいます)。父の体調が悪化し、入院することになった時、1年ほどこの工場に勤めました。そして、今はもうない旭光学(現HOYA・PNENTAX)の埼玉県・小川町工場や、今回レンズ生産から撤退することになった栃木県の益子工場へ何度も足を運びました。

小川町工場に勤めていた方達は、昔からの職人気質でとても人情に厚い方たちで、父の葬儀にもかけつけてくれました。父といつも会話をしていたという受付の女の子の優しそうな瞳を忘れることはないでしょう。益子工場はとても歴史を感じるところで、ここにあるカメラ博物館では時を忘れて、古いカメラを眺めたものです。

過酷なコスト競争の先で、日本はいったいどれくらいの財産を失っていくことでしょう。きっとこの先無くしていくであろう、技術、人材、歴史、それらを再び取り戻すことは簡単なことではないと思います。

「MADE IN JAPAN」
その誇らしげな文字が、Pentaxのレンズから消えてしまうことになりました。

limited0809.jpg

SMC PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited。
父の工場で切削・加工した部品が使われたレンズ。ずっしりとした金属鏡筒を持つ、旭光学が満を持して世に送り出した、PENTAXレンズの会心作です。


posted by jiro at 21:35| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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