2008年04月14日

トリオの醍醐味

バーバラ・キャロルのVenus Recordsによる第一弾、「Sentimental Mood」です。

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この作品は2005年にニューヨークのスタジオで録音されたものなのですが、この時、バーバラは78歳。現在ではもう80歳を過ぎていることになります。現在でもライブ・ハウスでバリバリにステージをこなすバーバラの元気の源、それはやはり「音楽」なのでありましょう。

私は絶対音感も持っていないですし、いろんなピアノ奏者のそれぞれの音の違いなどわかるはずもありません。でも、バーバラのピアノタッチだけは、他のピアニストと違う気がするのです。微妙にタッチが遅れるというか、タメがあるというか・・・。もしかしたら、ご高齢のせいなのかななどと思ってみたりして(とても失礼な考えでスミマセン)、バーバラが若かりし頃、50年代の作品をLPレコードで何枚か聴いてみたのですが、やはり独特のタッチを持っている気がする。とても個性を感じるバーバラのピアノなのです。

本作品にて取り上げられている曲は、ガーシュインあり、コールポーターあり、ロジャースあり、エリントンあり、素敵なJAZZスタンダードのオンパレード作品です。2曲では円熟のボーカルも披露していて、「Fly Me To The Moon」などは最高に渋い。「もっとバーバラの声が聴きたい!」という声に押されたのか、この後、ボーカルトラックばかり集めた第2弾が、Venusからリリースされております。

このアルバムから白眉を挙げろと言われれば、本作品中で唯一7分を超える「On A Clear Day」を迷わず挙げさせていただくことにします。

軽やかなタッチで始まるこの曲、バーバラが本当に楽しそうに演奏しているのが印象的です。そしてベースのジェイ・レオンハートの鼻歌交じりのソロが、それに輪をかけてHappyな気分を演出します。ドラムスのジョー・コクーゾのソロは控えめながら、タムの「パンッ」と張り詰めた音が気持ちいい。聴いていて本当に羨ましくなるほど楽しそうなのです。

高校生の頃、バンドの練習をしていて、こんなに楽しく演奏していたことがあっただろうか。どうやって目立とうだとか、いかに自分のパートのヴォリュームをこっそりと上げてやろうだとか、そんな風に自分のことばかり考えて練習していたような気がします。もしもタイム・トリップすることができるならば、もう1度あの放課後の教室に戻りたい。そして、バンドのメンバーと心ゆくまで笑いあって演奏したい。本作品を聴いていて、そんな風に思ったのでした。

トリオの醍醐味。それは3人がそれぞれ主張しつつも、他人を引き立てる術を、楽しみながら演出すること。バーバラの長きに渡る音楽人生の行き着いた境地が、「On A Clear Day」なのではないでしょうか。


posted by jiro at 16:41| 本日のBGM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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